怒りっぽいおばあさまが教えてくれたこと

桜 終活

担当する方の中でも、認知症の症状が進んで、怒りっぽくなっておられるおばあさまがいました。

息子さんと二人暮らしで、やさしい息子さんはお仕事の傍、十分に介護されていました。

ある日、おばあさまに急な発熱の症状が出ました。

慌てて息子さんは休日急患におばあさまを運び込み、受診を依頼されましたが、おばあさまは怒っておられました。

息子さんや、デイの職員さんとは後で意見が一致しました。

そのかたは、もう周囲の状況や自分の発熱について理解することは困難な様子でした。

おそらく、周囲のこと、自分のことが理解できないのに、急に白い部屋(病院の検査室)に連れて行かれて、

「気に入らないこと」

をされたのでしょう。

・レントゲンで納得のできない体制を取らされる

・血液検査で痛い注射をうたれる

・喉の状態を見るために、口の中を覗き込まれる

・聴診器で触られたくないお腹などを触られる

いつも、十分本人を理解し、配慮されているデイの職員さんや、息子さんが介助する自宅でも怒っておられたのです。

大きな総合病院で、次々と行われる検査に立腹されるのも、この方なら当然だと思いました。

結局、

「治療ができない」

という理由で自宅に帰され、その後は往診してくれる古い付き合いの医師と、訪問介護の助けで発熱を乗り越えました。

このことから、私はいくつかのことを学びました。

1 認知症が進むと、周囲の状況や自分自身の理解が難しくなる

2 痛い検査や納得できない検査について我慢できず、認知症の方が怒るのは当然だ

3 理解のある家族やサポートがあれば乗り越えられる

などです。

よく考えれば当たり前のことです。

ただ、認知症症状のないお年寄りは我慢することがあまりに日常化しており、このおばあさまの方が、感情に素直なのかもしれないと思いました。

確か、この方は十分に在宅で過ごされたのちに、抵抗する力さえなくなった後のご病気で、長期入院となりました。

「元気に抵抗できる方は入院ができない」

と言うのも皮肉な話ですが、これが現実なのでしょう。

息子さんは冷静でした。

「仕事の休暇も限られているし、ここまで自分は十分やってきたと思う。このあとは病院に任せてもいいと思う。」

とのことでした。

いつも明るく、前向きでやさしい息子さんでした。

まだ、おばあさまと十分にお話ができた時を思い出します。

「息子に嫁さんがいたらなあ。」

と言うおばあさまに、

「怖い嫁さんがいるより、やさしい息子さんがいてよかったじゃないですか。」

とお返事すると、

「それもそやなあ。」

と笑っておられました。

忘れられない、懐かしい思い出です。

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